春の音コンサートに行った

 2月9日(日)成城ホールにて開催された「第13回春の音コンサート」に行ってきました。高次脳機能障害の方々が、日々練習をして歌や演奏を披露する場。バイオリンを弾く男性は、右脳の損傷により、左麻痺で左半側空間無視(左側が良く見えない)、地誌的障害(道に迷うなど)のある年配の方。プロのフルート奏者だった男性は、左脳の損傷(だと思う)により、右麻痺が残り(高次脳機能障害は別にあるはず)、ピアノで自作曲を弾かれた。失語症の方々が群読(みんなで詩を読み上げる)を披露されたり。カラオケが好きで、素晴らしい歌声を披露する女性。などなど、熱演で盛り上がった。

 カラオケ好きな女性は、失語症の特徴だと思うが、歌は歌えても、上手く喋れない。何かを伝えようとして「うーん、えーと」を繰り返される。3分以上繰り返されたであろうか。ケアスタッフがギター伴奏者なのだが、次の言葉をずーっと待っている。時に相槌をうったり、ちょっと促してみたり・・・。それでも「うーん、えーと」は続く。観客、ボランティア・スタッフは、高次脳機能障害の失語症状況をご存じで、淡々と待っている。特にみんな焦ってもいない感じ。しばらくして、伴奏者が何かを汲み取って声をかける。彼女はそれに反応してうなづく。そして再び歌は開始された。さすがだなーと思いました。

 失語症と言っても様々で、聞く、読む、話す、書く、などについて、これはできるけどそれはできない。これもあれもできない。など本当に様々な症状で千差万別だ。高次脳機能障害自体が、脳損傷の場所によって様々な症状が出て、人によってすべて違う。脳損傷の位置が同じなら大体同じ症状が出るとはいえ、損傷もやはり違うし、人の脳は同じものはないし、性格も違うわけなので、違うわけですね。

 高次脳機能障害の一つの症状としての失語症も、単に失語症のみを考えればよいのでもないし、遂行機能障害、記憶障害などが影響しているだろうし。。。脳損傷による症状は超複雑だ。

 とはいえ、明確に失語という現象があるので、失語症の方は、様々になんとか回復しようと努力される。言語聴覚士にリハビリのアドバイスを受け、同じ失語症の仲間で話せる練習をしたり。

 自分も高次脳機能障害の方の支援を少しだけしていますが、失語症に対して、言語聴覚士ではない我々が、少しでも役に立つことはないのだろうか、と思うところです。東京都が「失語症者向け意思疎通支援者養成講習会」を実施してるのではありますが、これがなかなかハードスケジュールで難しい!

 もちっと手ごろな手段はないもんでしょうか(甘いといわれそう!)。