東京国立博物館 東寺の立体曼荼羅

 先日、トーハクで開催されている特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」に行った。

 曼荼羅図には以前から興味があって、第1弾の制作映像が曼荼羅図解説DVD。胎蔵曼荼羅図と金剛界曼荼羅図の内容は置いといて、その図の美しさと複雑さにはなんともいえない魅力を感じていた。千数百年前にこんな途方もないものが完成されていたことに感動していた。その図柄と複雑さはわけがわからないので圧倒されて、実に近寄りがたい。何か全く日本的ではない(と感じていた)不思議なとしかいいようのない図。これは拝むものなのか、眺めるものなのかもよくわからない。どうやらこれは密教僧侶にとっては悟りに至るための手段としての図。かつ礼拝の対象でもあるのだろう。では眺めるというか、見るというのはどうなんだ?それは仏の教えと実践を知るためということ、とのこと。それをもっと身近に感じてもらい、わかってもらうために空海は立体曼荼羅にした。

 東寺には、曼荼羅DVD制作の時期辺り、毎年行って立体曼荼羅像を見ていた。仏教の教えを知るためというのではなく、観光、見学というレベル。そこで、見るたびにすごいと思っていたのは、四天王のうちの持国天と増長天。立像でド迫力の姿!頭部も大きくなく八頭身くらいかな、だもので全体的にかっこいい。邪鬼がぐにゅっと踏んづけられてるのもいい。衣装もはためいた感じでものすごく動的。これが約1,200年前の彫像とは!!といつも感動する。2011年にトーハクで「空海と密教美術」展があったときに、持国天フィギュアを買った。今回も東京にこの立像は来ている。今度は増長天フィギュアを買おうと思っていた(残念ですがありませんでした)。展覧会では東寺でより、各彫像がすごく間近に見られてこれはこれで素晴らしい。まじまじと眺めてやはりかっこいいと思った。

 今回の展覧会のメインの一つは帝釈天像。東寺パンフの表紙も確か帝釈天だったと思うが、東寺の帝釈天はイケメンで知られている。展覧会ではこの一体のみ写真撮影が許されている。僕もスマホで撮りましたが、よく見る帝釈天の写真になったのでここに載せるのはやめました。帝釈天像ももちろん素敵だ。四天王が仕える帝釈天はヒンドゥー教では恐るべき力を持つ軍神。仏教に取り入れられ、善神となっている。静かな顔。しかし秘めた力を感じさせる姿でいわゆるオーラが漂う感じ。四天王との違いがまたいいですね。

 ふと気づいた。結局僕は展覧会にこの御三方に会いに行ったようなもんだと。空海さんの立体曼荼羅に込めた思いとは全く違う次元で会いにいきました。ひょっとしてもう一度行くかもしれませんが、その時はもう少しじっくり全体を見てみようかな。

 それにしても曼荼羅図、立体曼荼羅というのは美術品ではなく、また古くから残っているから価値があるというものでもなく、本来の目的があるのにそれををつい忘れてしまう。それくらい何か不思議感、かっこいい感が満載ですね。