『未来への大分岐』を読む

 まずはれいわ新選組が二人の障害者を国会に送り込むことができ、そして政党になったというのは嬉しいことだ!応援していこう。

 『資本主義の終わりか、人間の終焉か?未来への大分岐』(斎藤幸平編 集英社新書)を読んだ。マイケル・ハート、マルクス・ガブリエル、ポール・メイソンとの斎藤幸平氏の対談本。斎藤幸平氏は、日本タイトル『大洪水の前にーマルクスと惑星の物質代謝』でドイッチャー記念賞を日本人初、史上最年少で受賞。32歳、ヒエー!すごい。

 最近“グリーンランドで8月1日のたった1日で110億トンの氷が溶けた”というニュースがあったが、地球の気候変動が途方もないことになっている。日本もこの暑さは異常だ!!インドネシアは首都をジャカルタから移すらしい。水没の危機もその理由のひとつ。斎藤幸平氏は資本主義を出来る限り早く止めなければ地球そのものがやばいと、そしてそのためにも人々の社会運動が大事だと主張される。いや全くだ。資本の無限運動でひたすら自分だけが儲けることを目的としている資本主義は、地球から資源の収奪に歯止めをかけることができない。自動車だってもういらんちゅうのにまだ作り続けるのはそういうことだし。石油は取られ放題。プラスチックやばし。バブルもはじけるのはわかっていたのに、リーマンショックも必然なのに、止められなかった。誰かが損をしても自分だけは上手いことして損する前に逃げるといって走ったわけだ。そんで逃げおおせた人もいるだろうけど、逃げ遅れた人があまりに沢山いたので停滞したわけだけど、地球からの逃げ場はない。かなりのスピードで地球がおかしくなっているは、明らかに資本主義が地球資源を食い荒らしているのが原因だ。リサイクルなんてのはほんとに小手先にもならないくらいの影響しかない。しかしこのシステムを誰が、どうやって止めるのだ?世界はほぼこのシステムで覆われてているというのに?

 だが、少しずつ世界では社会運動としての具体的な活動が始まりつつあるという。日本ではどうだ?絶望的になるが絶望して閉じ籠っていても始まらないわけだ。どう考えても。なにせ地球から逃げ出すことができないので。今ここで同じ意識を持つ人たちでつながり、連携し、社会へ向けて活動せねば、ということ。

 『未来への大分岐』の中で、「ポスト真実(ポスト・トゥルース)」のことが書いてあった。真実が力を持たなくなり、ヘイトスピーチもしかり、反日なんちゅー言葉で感情的にバッシング。なんでそんな感情を抱いたのかはその人の環境によるのだろうが、感情を共有したものが群れて、相容れないものを徹底的にバッシングする。もはや理性的な会話が成り立たず、それぞれがもはや別世界の住人。「「ポスト真実」は相対主義の時代なのです」と斎藤氏(P.138)

 ここでスピノザ『エチカ』第4部定理1「誤った観念が有するいかなる積極的なものも、真なるものが真であるだけでは、真なるものの現在によって除去されはしない」。定理14「善および悪の真の認識は、それが真であるというだけでは、いかなる感情も抑制しえない。ただそれが感情として見られる限りにおいてのみ感情を抑制しうる」とある。こりゃー「ポスト真実」を言い当ててる。真実をいくら突き付けてもその感情を弱められない。それよりも魅力的な感情によってのみ圧倒されるもんだと。恋人と別れた悲しみは新しい恋人に出合い、喜びという感情が悲しみを凌駕するというのも一例か!その感情が醸成された構造を明らかにし、原因も突き止めつつ、かつ別の構造に移ってもらうことも必要だ。同じ環境にいたら同じ感情が育つだけだから。

 原因が、環境としてある貧困、格差、競争から生まれる恨み、優越、自己卑下等をベースとしているなら、それを作り出す新自由主義は第一原因だろう。ということからも明らかに資本主義はいけません。

 そういう感情を抱く人々の生きる環境を少しでも良くしていき、生き易くなるようにするための行為が、社会運動なんだと。その通りだす!